ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ハッピー・ヴァレー 復讐の町」@Amazon Prime

231008  HAPPY VALLEY  英テレビドラマシリーズ 2014~23  シリーズ3は日本未公開で、シリーズ2まで全12話を視聴。シリーズ3の公開が待たれます。

依然として、懲りもせず、イギリス発の刑事ものにご執心です。今回は家庭の主婦が刑事役で登場するところが、他の同種の作品とは大きく異なる点です。このキャサリンセイラ・ランカシャー)という名の巡査部長(DS - DETECTIVE SERGENT, ドラマの中ではサージとか呼ばれています。日本では「部長!」なのに、やはりくだけてますよね)が主人公。

風貌はよく見れば、結構可愛いのですが、巨体(多分、178cm,  80kgぐらい)で、化粧っけなし(当たり前か、現場では)、金髪をボザボサにして駆け回りますからね。犯人の追跡やったり、張り倒したり、そりゃたくましいこと。

正義感に溢れ、愛情深く、主義主張ははっきりしていて、たとえ相手が上司であったも、妥協はしないタイプなんで、こういのを部下にしたらやりにくいでしょうね。それなりに愛嬌もあるんですが、結構所内では嫌われたりもしています。ま、本人は一向に気にしませんがね。

家庭環境はかなり複雑!妹と孫(8歳の男の子)と暮らしていますが、この2歳下の妹ってえのがアル中だったのを、なんとか鍛え直して、一緒に住まわせており、今ではなにかと頼りになる存在に。

孫は死んだ娘の遺児。ベッキーという娘はレイプされ、出産後に自殺と言う悲惨な過去があります。その相手というのが収監中なのですが、ドラマ中盤で出所してくるから、大変なんです。

他に一人息子のダニエルというのも出てきますが、離婚した挙句、やはり同居人となります。ま、成人の男手はなにかと重宝でもあるのですが・・・。まあ、こんな具合で、厄介な家庭を切り盛りしながら、難事件に体当たりで解決にあたるのですから、そりゃまあ気の毒なほど大変ですワ!

舞台は中部イングランド、リーズやシェフィールド、マンチェスターなどから遠くない地区です。タイトルのハッピー・ヴァレーというのは架空の地名で、むしろ副題の復讐の町というのが作者の意図するところでしょうか。陰湿な気候の街に次々に起こる陰鬱な事件ですからねぇ。

ま、それでも救いになるのは、そこそこ明るい話も適宜盛り込むし、笑いを取るシーンも、少ないですがあるにはあります。一例を挙げると・・・出所したレイプ犯の名前はトミー・リー・ロイスですが、所長がキャサリンに「そう言えば、トミー・リー・ジョーンズだけどさ」と問いかけ、すかさず訂正される場面、笑いましたね、さすがに。

それから、シーズン2のラスト、殺人犯が実は所内の同僚ジョンだったという衝撃の話で、彼を追い詰めたキャサリン、そこは真下が高低差のある道路で、かなり高い土手の上です。犯人が自殺しようとしているのは明らかで、キャサリンはなんとか踏みとどまらせようと必死です。

こうした場合の対処法の訓練を受けていたのはジョンの方で、今までに自殺を思いとどまらせたのは17人に及ぶと二人の会話の中で言います。しかも、手順までその場でキャサリンに伝授し・・・・。

また、レイプ犯を演じたのはジェームス・ノートンという、英国では2枚目人気俳優で、見た瞬間に、以前に見た、やはり英国のテレビ・ドラマ「戦争と平和」のアンドレイ役だと瞬時に思ったほど、印象深い俳優で、彼が劇中逃げ回る際、インテリ風にしようと敢えて分厚い単行本を小脇に抱えており、ふとタイトルを見れば「戦争と平和」!

ともあれ、2度目のコロナで座敷牢に蟄居していたので、あっという間に見終わった作品でした。

さて、これにて一旦刑事モノは離れ、次は久しぶりにイタリア映画にします。