ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ラ・ボエーム」@杉並勤労福祉会館

240418

日頃応援しているテノール青栁素晴さんが出演するとあって、初めて杉並の勤労福祉会館へ。

この超有名オペラは数えられないほど見に行っていますが、今回のは、Tokyo Ope'lataさん主催の、まあ、いわゆる手作り感たっぷりオペラです。この主催者ではファストオペラという括りのようです。

男声陣は概ねベテラン、女声陣は若手という組み合わせ。ミミもムゼッタも、これからの精進が待たれる若手で、そこを男性の、特にロドルフォ、マルチェッロがうまくフォロー、補完しての上演でした。技術的にはもちろん女声陣に物足りなさは感じるのですが、こういう組み合わせで、すこしでもオペラの裾野を広げようという主催者の心意気は感じました。

舞台はもちろん簡素そのもの、そこは一向に気にしないというか、想定内。ただ、もう少し金はかけずとも工夫があってもいいかな、と思いました。例えば中央に置かれたストーブと思しき小道具、下部に黒い布が巻いてあるのですが、これが途中で上手方向から風の流れがあるのか、ひらひらとゆれてかなり目につきました。

加えて、背景は静止画像を投影して1幕、4幕は屋根裏の雰囲気を出していて、悪くないです。ところが、2幕、クリスマスのカフェ・モミュスの場面で、パリらしき街角カフェの景色が背景に映されるのはいいとして、来店客が真夏の格好なんですね。ここら辺はもう少し気を使ってもよかったし、もったいないです。

ピアノ伴奏の服部容子さんが事実上、演出もされていたように感じました。有名アリアの後では、さりげなく聴衆に拍手を促したり、歌手にはハケるキューを手早く出したりと、ピアノだけでなく、そうした所作を含め見事な手腕でした。

原語上演ですが、字幕を出す余裕がないので、事前にナレーター須永尚子さんの解説が入ります。1幕で主宰者の大久保 眞さん演じる大家が入ってきた場面だけは日本語でのやりとりで、笑わせてもらいました。

客の入りは6割程度でしたかね、平日の昼ですから、無理もないですが。夜公演はもう少し多かったと聞きました。