ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ロンドン警視庁 コリン・サットンの事件簿」@AmazonPrime

240420 Manhunt  英 2019 シーズン1、全3話 各45m

手頃な長さで見やすい作品です。ただ、出演者全員がかなり地味で、感情移入しにくいタイプばかりというところが少々残念です。主役の↑の方も身なりも風采もぱっとしません。ま、でも男性の場合はよくあることで、その分、味わいがあればむしろその方が。刑事コロンボがそうでしたね。

ところが女優陣も一向にぱっとしないので、どうしても画面が地味過ぎてしまいます。そこはイマイチ気持ちが乗り切れませんでした。ま、でもストーリー展開はかなりわかりやすく仕上がっていたと思います。いわゆるシリアルキラー若い女性を狙い、ハンマーで頭部を一撃するという残忍な殺人を犯す犯人を追い詰め、ついに解決に導くという、実際に起きた事件を扱っています。

ついでながら、ロンドン警視庁は別名スコットランドヤードと昔から称しています。その昔建物があった場所の裏手の通りがその名前だったことから来ています。パリ市警がケー・ドルセイと呼ばれたり、東京警視庁が桜田門と呼ばれたりするのとやや共通します。ちなみに、現在はNew Scotland Yardと称されます。

「マタイ受難曲」@みなとみらい大ホール

240419

ちょうど1年前、愚亭も第一生命ホールの舞台に立っていたのですが、今回は客席で鑑賞しました。やはり最後列で合唱で歌うのと客席で聴くのとは、かくも違うものと改めてその感を深くした次第です。

声は前にしか飛ばないという普遍の理屈からすれば、これは自明なのですが、もう一つ、この1年でオケも合唱も(団員は入れ替わってはいますが)それなりの進化を遂げているという事実も否めません。

更にもう一つ、今回はサプライズでMo.Heilmannの幼少期からダチ(?)である天下のバス歌手、ルネ・パーペが急遽出演を決めたことです。そのせいで、本来ソロを歌う予定で懸命に練習に励んでいた一部男性団員はほんとに気の毒ではありましたが、聴衆としては本当に嬉しいサプライズ出演でした。

それと1年前には歌っていたのに、ほとんどバスの旋律も歌詞も忘れていることに我ながら驚き、かつ呆れました。全体に、男女比が8:2ぐらいで、男声がほとんど聞こえないこともその一因かもです。いいわけです。

ルネ・パーペは別にして、ソリスト陣も一部入れ替わっていました。プロのソリストとしてはなんと言ってもアルト代表、我らが星 由佳子さん、そしてバスの”ビッグ”こと杉浦隆大さん!!星 由佳子さんは下手側、杉浦隆大さんは上手側の袖近くの椅子でスタンバイ。杉浦さんは隣に天下のパーぺが座っていますから、やはり気になるのか落ち着きがないように見えました。

そのパーペですが、上手の定位置からほとんど動かず、かろうじて、ハイルマンとの二重唱(これも驚きでした。マエストロ自らが二重唱!)や、その後の5重唱(?)の時だけ、中央まで少し移動したぐらいで、目立たないように配慮していたみたいです。

そして、終演ですが、ハイルマン、なかなか動きません。どうやら感涙に咽んでいた様子でした。しばらくしてやっとゆっくりこちらに向き直り、大喝采、スタンディング・オヴェーション!

 

「ラ・ボエーム」@杉並勤労福祉会館

240418

日頃応援しているテノール青栁素晴さんが出演するとあって、初めて杉並の勤労福祉会館へ。

この超有名オペラは数えられないほど見に行っていますが、今回のは、Tokyo Ope'lataさん主催の、まあ、いわゆる手作り感たっぷりオペラです。この主催者ではファストオペラという括りのようです。

男声陣は概ねベテラン、女声陣は若手という組み合わせ。ミミもムゼッタも、これからの精進が待たれる若手で、そこを男性の、特にロドルフォ、マルチェッロがうまくフォロー、補完しての上演でした。技術的にはもちろん女声陣に物足りなさは感じるのですが、こういう組み合わせで、すこしでもオペラの裾野を広げようという主催者の心意気は感じました。

舞台はもちろん簡素そのもの、そこは一向に気にしないというか、想定内。ただ、もう少し金はかけずとも工夫があってもいいかな、と思いました。例えば中央に置かれたストーブと思しき小道具、下部に黒い布が巻いてあるのですが、これが途中で上手方向から風の流れがあるのか、ひらひらとゆれてかなり目につきました。

加えて、背景は静止画像を投影して1幕、4幕は屋根裏の雰囲気を出していて、悪くないです。ところが、2幕、クリスマスのカフェ・モミュスの場面で、パリらしき街角カフェの景色が背景に映されるのはいいとして、来店客が真夏の格好なんですね。ここら辺はもう少し気を使ってもよかったし、もったいないです。

ピアノ伴奏の服部容子さんが事実上、演出もされていたように感じました。有名アリアの後では、さりげなく聴衆に拍手を促したり、歌手にはハケるキューを手早く出したりと、ピアノだけでなく、そうした所作を含め見事な手腕でした。

原語上演ですが、字幕を出す余裕がないので、事前にナレーター須永尚子さんの解説が入ります。1幕で主宰者の大久保 眞さん演じる大家が入ってきた場面だけは日本語でのやりとりで、笑わせてもらいました。

客の入りは6割程度でしたかね、平日の昼ですから、無理もないですが。夜公演はもう少し多かったと聞きました。

「王朝文化へのあこがれ」@五島美術館(上野毛)

240417 友人に招待券をいただいたので、初訪問となる五島美術館へ。

展示物については、普段の不勉強が祟って、本来の価値がほぼ分からないまま、鑑賞させてもらって、申し訳ないほどの場違い感を抱きました。それでも、大昔学校で習っただけで、かろうじて名前も作品名も知っている実物が目の前に展示されていることには、深い感動を覚えました。


過去一度だけ下車した記憶のある駅を降りて、美術館までのアプローチはまさに豪邸がならぶ閑静な一等地、5分ほどで到着。美術館の下に大東急記念文庫という表記も見えます。

正面玄関、風情のある堂々たる構えです。

勧められるままに庭園に。これが驚くなかれ、深山幽谷の趣きたっぷりの広大なお庭。起伏が多く、とても高齢者向きではないと判断し、早々に戻った次第。たった一人で名園に遊ぶ贅沢を、ほんのちょっぴり味わえました。鶯の声まで聞けて、愚亭大満足の巻でした。

これは美術館のHPからお借りしたもの。

一隅に大日如来

本館から庭園に出たところに文化庁からの有形文化財指定表示の石版がありました。ここは、ぜひ再訪したいところです。









 

ブルックナーも久々に

240414 午前中、近くの中学校での合唱練習の後、そそくさと日暮里経由でサンパール荒川へ。ウチの合唱仲間が乗る演奏会に行きました。

昔、第九と「復活」で、なんどか出演経験のあるMAXフィルのコンサートです。ここのMo.古澤は、昨年末のサントリーホールでのコバケン第九で、私の目の前でコンバスを演奏されていました。コンバスも依然バリバリ現役です。若くてかっこいい指揮者です。

ブルックナーは嫌いではありません。日航ジャンボ御巣鷹山の年、休暇で彼の生誕地であるオーストリアのザンクト・フローリアンをわざわざ訪ねたぐらいですから、私の中では、ずーっと興味ある作曲家の一人です。

でも、前半の「テ・デウム」のような合唱曲があるのは知りませんでした。いきなり冒頭から、しかも大きな音量で歌から入ります。合唱、うまいです。ソリスト陣、常連さんです。テノールの澤崎一了さんはここ数年、実に進境著しい大型テノールの一人でしょう。

後半は、これぞブルックナーという感じの管弦楽曲で、冒頭、ホルンのソロが1楽章の主旋律を吹きます。これは相当難しいし、勇気が要ります。見事に吹き切った首席奏者、ブラーヴォでした。

その後、とりわけ金管組が大活躍しますが、見ているとトランペット3番までがロータリー式、4番目の女性だけ、ピストン型で、今やロータリー式がメインのようです。プロとアマの混成チームとのことですが、その割合はどのようなものなんでしょうか。興味津々。とにかく、お上手です。

それにしても長い!ほぼ第九と同じ長さの66~72分!それより長いと感じたのは終演時のマエストロのタクトが上がったまま動かない!30秒ほどもあったように感じられました。弦楽奏者の弓も宙に浮いたまま、時間が過ぎます。

ついに溜まりかねたように、奥の方から拍手が起き、一斉に大喝采へと。なんでもこのマエストロ、フライング防止には何が必要か研究しているとか。確かに、終わるや否や、余韻を楽しむ暇もあらばこそといきなり拍手する輩がいますからねぇ。人によっては相当苦々しく感じる筈ですもの。

帰路は都電荒川線日比谷線浅草線で帰りました。