210201 A BOUT DE SOUFFLE (息を切らして)言わずと知れたジャン=リュック・ゴダールの出世作にして最高傑作。ヌーヴェルヴァーグの金字塔。その後はあまり振るわず。1983年には本作の焼き直しような「ブレスレス」(息を切らしてだから、本作のタイトルと同義)をリチャード・ギアを主役にすえて撮っているが凡作。
1960年日本公開だが、その時にリアルタイムで見たか、後にテレビで見たか、記憶が曖昧。いずれにしても、当時としては鮮烈な印象を与えはずがないと改めて見てつくづくそう思った。セリフを映像もおしゃれそのもの。パリの街並みでハンドカメラでいきなり撮影していることは、周辺の通行人の表情などを見れば分かる。
自動車泥棒のミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)が逃亡中に追い縋る警官を射殺し、パリへと。偶然知り合ったアメリカ人のパトリシア(ジーン・セバーグ)との自由恋愛(?)、意味のないセリフのやりとり、安ホテルの狭いシングルルームでの長いシーン、アドリブなのか自然なやりとり・演技で飽きさせない。
ジーン・セバーグのピュアな美しさが光る。ヘア・ブラシを髪に当てる前に、眉毛を整える場面が印象的。彼女はブラックパンサー(黒人民族主義)をサポートして、FBIに目をつけられる。同組織の幹部の子を宿したなど、かなり誹謗されるなどして、40歳でパリ16区の自宅駐車場で自殺。他殺の説も。ハリウッドは惜しい女優を失った。
早世したので、作品は少ない。出世作は、やはり2本目の「悲しみよ、こんにちは」(Bonjour Tristesse)だろう。セシールカットが流行った。
一方のジャン=ポール・ベルモンドは現在も生きているが、同時代のフランス映画界での人気を二分していたもう一方のアラン・ドロンほどは元気ではないという説も。フランス人はドロンよりベルモンドに人気があったようだ。美男vs.変顔(?)、フランス人の好みはやはりかなり独特。現在、ベルモンド、87歳、ドロン、85歳である。