ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

アイーダ(〜シンプル形式による〜)@紀尾井ホール

250623

このLibera Opera Seriesというのは、愚亭がパリに駐在していた半世紀も前に、たまたまお会いした方が企画制作をされていて、今回で22回というから、驚きます。愚亭が見始めたのは割と最近のことです。

LOSのコンセプトは低予算ながら、簡素化された舞台でも、要所は手を抜かず、多くのファンに比較的低価格で楽しんでもらうということです。まさに今回のようなグランド・オペラの代表格が、この値段で楽しめることこそ、狙い通りと言えましょう。

ということで、今回も字幕はなし。その代わり、専門家が幕ごとに簡単に物語の進行を解説することになっています。字幕を見る代わりに舞台をしっかり見て聴いてほしいという気持ちの現れだそうです。

歌い手さんもこれぞと言う方々を揃えたし、衣装がまた豪華そのもの、特に国王、神官、それに巫女長の衣装には目を見張りました。

巫女長のまばゆい黄金の着衣は相当重そうで、歌われたソプラノの曽根順子さん、下手袖に引っ込む時は、合唱隊の方がサポートされていました。

なんたって頭上にすっごく重そうな飾り物が乗ってましたから、あれで歌うって、すっごいことと半ば呆れ、同情を禁じ得ませんでした。お疲れ様でした。

さて、アイーダさん、なんと御年80!!の”せきてい”こと関 定子さんが演じられました。失礼ながらバケモノのごとく歳を取らない奇跡のソプラノですが、さすがに80、それなりに声の張りの衰えは隠しようがありません。

でも、高音域まできれいに出す技こそ、この方の信じがたいところと言えましょう。世界でも例がないほどの、まさに天下の奇観とでもいいましょうか。共演者による後日談では、ゲネではもっと出ていたらしいので、本番は少し物足りないと感じたらしいです。

レジェンド・アイーダの前には他の出演者が霞んだ観も否めませんが、それでもメイン・キャスト陣も合唱隊も素晴らしかった!そんな中で、アムネリスを演じた城守 香さんには心底まいりました。以前にも一度だけお聞きしたことがあり、その時も驚嘆したのですが、今回はそれが更に進化していて、唸りました。

あれだけ響かせる技、持っている人って滅多にいません、多分世界的にも。すぐにでもメトロポリタンに立てるほどのテクニックだと思いました。カーテンコールでの狂ったようなブラーヴァと喝采で、聴衆の誰もがそれを認めたことと知れましたね。

もちろんラダメスの小野弘晴さんも、このところお聞きする機会が増えていますが、ますます高音に磨きがかかって、見事な存在感でした。第1幕でいきなり歌う「清きアイーダ」、すばらしかったです。なぜここで、トランペットを入れなかったのか、とても残念に思いました。後の凱旋の場面ではアイーダ・トランペットが2本入ったのに!ちょっと彼がかわいそうでした。

アモナスロの清水良一さんも絶好調、ランフィスの高橋雄一さんも着実に進化していました。以前第九合唱の指導を受けたバスの谷 茂樹先生も見事な国王ぶりでした。

上手の一画は小編成オケが陣取り、それほど広くもない舞台が更に割り引かれた空間でのこのグランド・オペラですからねぇ、そんな限られた条件で、ほんとにみなさん、好演されました。BRAVI! BRAVI!!  BRAVI!!! BRAVISSIMI~~~!!!!!

なお、紀尾井ホール(今は、日本製鉄が頭に付くようですが)は大規模改修工事のため、しばらく休館となるので、次回は別の会場になるのでしょう。