250727


「ドン・ジョヴァンニ」、「フィガロの結婚」と並ぶモーツァルトの三大オペラの一つとされていますが、愚亭にはどうもこの「魔笛」が一番苦手、というか、どこがいいのかしらん、て思ったり・・・。話の流れもいまいちだし、アリアももちろん夜女のコロラトゥーラ名曲もあるのは認めますが。
今日は応援している青栁素晴さんがモノスタートスを演じるので、杉並公会堂までクソ暑い中、やってまいりました。館内は効きすぎるほどの冷房で、ポロシャツ1枚だと、途中で寒寒としてくるほどでした。
このTOKYO OPE'LATAシリーズはずいぶん何度も見にきていて、主宰者の大久保 眞さんの主義で日本語上演が結構多いのも特徴です。今回も全編、日本語でした。しかもご丁寧に日本語字幕まで出してくれて、助かります。日本語でも歌詞となると、聞き取れないこともありますからね。
背景に登場するさまざまなシーンですが、多分、すべてAIを駆使して創ったとみています。こういうことはAIはお手のものですから。それをプロジェクションマッピングに落とし込んだ技術が素晴らしいと感じました。今後、オペラの舞台でのこうした利用法は一般化するんでしょうね。
さらに、今回はそのプロジェクション・マッピングを徹底的に多用していて、背景はもちろんストーリー展開の説明まで加わり、完璧でした。これは、しかし、相当費用が嵩んだろうことは容易に想像できます。こういう費用の掛け方には、愚亭などは大賛成したいところです。
それにしても、ほぼ満員の盛況は大したものです。どうやら、出演者が指導している合唱団員なども相当数来場していたことは、カーテンコールでのそれぞれの歌手への声援の熱量でよく分かりました。
杉並区民オペラ合唱団のみなさんも、また同じくオケも大変熱心に稽古された模様で、賞賛されるべき演奏でした。合唱団の衣装はもう少し工夫が要ったように感じました。ちょっとそこはもったいなかったかと。
ソリスト陣、青栁さんはこの役を10回以上は演じられてますし、さすが堂に入ったものでした。パミーナの中野亜維里さん、歌の基礎はしっかりされていますので、あとは表現力でしょうかね。衣装も含めて、もう少しパミーナらしさを出せたかと。夜女の本松三和さん、いいお声だしみごとな演唱でした。最高音だけ、もうちょっとでしたか。
タミーノ、下村雅人さん、言うことはありません。純白の王子衣装で、女たちにかしずかれて気分よかったことでしょう。パパゲーノの吉田 敦さん、慣れたもので、演技などもかなりアドリブでされていたようでした。
ところが、吉田さん、歌った歌詞は、字幕表示とは結構違っていたので、自在に変更されてたんでしょう。ただ、これは規則破りですから、どうなんですかね、周囲との調和という点では、問題なしとはならないかも。
ザラストロのバリトン、井上白葉さん、スキンヘッドにされ、お顔もザラストロ向きで、威厳があるのはよいのですが、声の質から言うと、ちょっと軽めだったかも知れません。
3人の侍女はすばらしかった!歌も演技もOKです。
というわけで、たっぷり楽しませていただきました。超満員でから、幕間のロビー、押し合いへし合い!あのホール、キャパの割にロビーが狭いのが難点でしょうかね。